建築業の諸経費率の相場|共通仮設費・現場管理費・一般管理費の計算
建築業の見積書を作るとき、必ず出てくるのが 諸経費 の項目です。「共通仮設費」「現場管理費」「一般管理費」の 3 種類が代表的ですが、それぞれの相場や意味、計算方法を整理します。
諸経費とは
建築業の見積書における「諸経費」は、工事を完遂するために必要な費用のうち、個別の材料費・手間賃以外にかかる費用を指します。大きく 3 つに分かれます。
- 共通仮設費: 現場共通の仮設費用(仮設事務所・仮囲い・仮設電気水道等)
- 現場管理費: 現場運営に必要な費用(現場代理人の人件費・保険料・福利厚生等)
- 一般管理費: 会社運営に必要な費用(本社経費・法定福利費・営業費等)
これらは工事の規模・種類によって率が変動しますが、一般的な相場があります。
一般的な諸経費率の目安
小規模〜中規模の建築工事で、一般的に使われる率の目安は以下の通りです。
| 費目 | 目安率(対直接工事費) |
|---|---|
| 共通仮設費 | 5% 前後 |
| 現場管理費 | 8% 前後 |
| 一般管理費 | 7% 前後 |
| 諸経費合計 | 20% 前後 |
ただしこれは一般的な目安であり、以下の要因で上下します。
- 工事の規模(大規模ほど率は下がる傾向)
- 工事の種類(リフォーム・新築・解体で異なる)
- 現場の条件(立地・工期・安全管理の難易度)
- 会社の経営方針
諸経費の計算方法
1. 率による計算(もっとも一般的)
直接工事費に対して率を掛けて算出します。
直接工事費 = 100万円の場合
共通仮設費 = 100万円 × 5% = 5万円
現場管理費 = 100万円 × 8% = 8万円
一般管理費 = 100万円 × 7% = 7万円
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諸経費合計 = 20万円
直接工事費が 100 万円なら、諸経費合計で 20 万円、工事原価は 120 万円となります。
2. 定額による計算
小規模工事や特殊な案件では、率ではなく 定額 で諸経費を計上する場合もあります。例えば「共通仮設費 5 万円(定額)」のような形です。
mizmori では、率と定額を費目ごとに切り替え可能なので、現場の状況に合わせて柔軟に設定できます。
諸経費率を決める際の注意点
安すぎる率は利益を圧迫する
「お客様に安く見せたい」という気持ちで諸経費を 10% 程度に抑えるケースがありますが、実際の管理費を下回る率にしてしまうと、工事が進むほど赤字になります。最低限、以下は確実に回収できる率を設定する必要があります:
- 現場代理人の人件費(日当換算)
- 工事保険・労災保険料
- 現場までの交通費・ガソリン代
- 事務員の人件費按分
- 会社の家賃・光熱費按分
競合見積との比較だけで決めない
「他社が 15% だから 15% に合わせる」という決め方は危険です。他社が安くできている理由(規模のメリット・得意分野・工期)を分析せず真似すると、自社の利益率を削るだけになります。
見積書には率を明示する
お客様に提出する見積書では、諸経費を「一式 20 万円」とまとめるのではなく、費目ごとに率と金額を明示するのが現代の標準です。透明性が高くなり、値引き交渉時の議論もしやすくなります。
mizmori の見積書 PDF は、諸経費を費目ごとに表示する形式になっています。
実行予算書と見積書で諸経費の扱いは違う
お客様に提出する見積書では諸経費は「受注額の一部」として売上に含まれます。一方、社内で作る実行予算書では、諸経費は「実際にかかる管理コスト」として原価側に計上する場合もあります。
たとえば:
- 見積書: 共通仮設費 5% = 5万円(お客様からもらう金額)
- 実行予算書: 実際の仮囲い費 3万円 + その他 1万円 = 4万円(実コスト)
この差額(5万円 - 4万円 = 1万円)が実際の利益になります。
mizmori の実行予算書 PDF では、売上ベースの諸経費と原価ベースの集計を両方確認できるようにしています。
まとめ
- 建築業の諸経費は 共通仮設費(5%)・現場管理費(8%)・一般管理費(7%) が一般的な相場
- 合計で直接工事費の 20% 前後
- 工事の規模・種類・現場条件で率は変動する
- 実コストを下回る率は避け、確実に回収できる率を設定する
- 見積書では費目ごとに率と金額を明示する
諸経費の計算を手作業で毎回やるのは手間です。mizmori では諸経費率を設定すると直接工事費に応じて自動計算され、率や定額の切替も画面上で簡単にできます。
諸経費を含む見積書を無料で作成したい方は、ぜひ使ってみてください。